本記事は志村正彦時代のフジファブリックファン向けです。
志村関連のDVDをライブ開催順(※PVもあるので発売順)に紹介していきます。
なかでもおすすめは?
おすすめなんて書きましたが全部です。
と言ったらこれまた怒られそうなのでね。
DVD作品として完成度が高いのは「両国」、志村の顔目当てなら「日比谷野音」、転換点に立ち会いたいなら「 富士五湖」、みんなのトークが聞きたいなら「FAB CLIPS」。オマケ映像たっぷりなのはクロニクルツアーとか5周年ツアー。
なお、志村はいないけど「フジフジ富士Q」は買ってよかったなぁとしみじみ思ったDVD。
ああ、やっぱり全部。買わなきゃよかったと思ったDVDなんてありませんね。
- 1 座談会が見ごたえあり。PV集『FAB CLIPS』――06年2月発売
- 2 『フジファブリック Live at 日比谷野音』―06年5月3日
- 3 『フジファブリック Live at 渋谷公会堂』―06年12月25日
- 4 『フジファブリック Live at 両国国技館』――07年12月15日
- 5 『フジファブリック Live at 富士五湖文化センター』――08年5月31日
- 6 『Official Bootleg Live & Documentary Movies of “CHRONICLE TOUR”』09年6月7日~7月16日
- 7 『Official Bootleg Movies of “デビュー5周年ツアー GoGoGoGoGoooood!!!!!’』――2009年9月29日~10月23日
- 8 『フジフジ富Q』――2010年7月17日
座談会が見ごたえあり。PV集『FAB CLIPS』――06年2月発売
DVDとしてパッケージされているものとして一番若い志村を見られるのは本作ってことになるのかなぁ(注:後述する『GOGOGO~』にはデビュー時からの過去映像も一部入っていますが)。
デビュー曲『桜の季節』から『茜色の夕日』あたりまで10曲(アルバム曲も含む)のビデオクリップ集です。本DVD用のための撮りおろしもあり。
当時流していたテレビCMやメイキングがあるのが嬉しい。
PVの多くはYouTubeで見られるので、むしろ、そっち目当てで購入しました。結論として買ってよかった。
トークシーンは深夜番組みたいなユルさがあってファンは必見だと思います。
メイキング の見せ方も凝ってますね。
メジャー以前からフジファブPVを手掛けてきたスミス監督が進行役。
フジファブメンバーと一緒に過去のメイキングを見ながらみんなでコメントしていく座談会形式です。
真剣な顔をしてメイキングを見てる志村の顔も映っている。隣には脱退前のドラムス足立文房。なぜか甥っ子感満載の足立の雰囲気にも癒されますが、みんな24、5歳の頃の記録なので若いです。志村はアーティストっぽくなってるかな。
スミス監督いわくPVを見た志村に「もっと金澤(※キーボードの金澤ダイスケ、通称ダイちゃん)くんのアクションを入れて欲しい!!」とよく言われていたそうな。
指摘された志村は自覚があるのかないのか「そうでしたっけ」みたいなすっとぼけた答えでしたが、そのやり取りを聞いてるダイちゃん、絶対嬉しかっただろうな。
フジファブリックの初期PVって「なんで消防署の前で歌うんだ!(※『赤黄色の金木犀』)」とか「何の情報も持たずにいきなり見たらひたすら怖かっただろうに(※『銀河』)」とか独特のセンスがさく裂しているものも多いですが、座談会で「そういう意図があったのか」と腑に落ちる場面も。
なお、『虹』『茜色の夕日』『モノノケハカランダ』のPVはスミス監督作ではない。なのに、これらの作品においても普通の顔して進行役を務めている。志村が慕っていたのもわかるというか、いい人なんだなと思いました。
- 桜の季節
- 陽炎
- 赤黄色の金木犀
- TAIFU
- 銀河
- 虹
- 茜色の夕日
- 茜色の夕日(short movie ver)
- モノノケハカランダ
- Birthday
『フジファブリック Live at 日比谷野音』―06年5月3日
ドラムス足立房文が脱退した直後のライブですね。メンバー的には思うところはあったでしょうが、かなりクオリティは高い。
特にこのDVDがおススメなのは
①志村の顔がとにかく好き②カッコいいフジファブリックを見たい人たちでしょうか。
自分で書いてて頭悪そうな条件づけだなと思いますが、全DVDの中でこの『Live at 日比谷野音』は志村の美しさが際立っているという事実。画質もいいしね。
志村、なぜかこのライブではアイラインを入れています。
衣装?のジーンズにアイラインなんてよく考えると、へんな感じなわけですが、夕暮れ時から夜の帳が落ちかけるころのライブです。幻想的だなんのって。
『陽炎』あたりでは珍しく画面いっぱいの顔アップもある。
ちなみに、時折映るギターの山内総一郎もざわざわするほど色っぽい。
声の出もまずまず。晩年のライブは聴いているこちらが「志村、大丈夫か?」と心配になる場面もありますが(ゴメン)、日比谷野音はそうした心配はない。その歌声に伸びしろも感じる。『環状七号線』から『打ち上げ花火』への流れなんか痺れますよ。
なお、DVDの監督はフジファブPVでお馴染みのスミス監督です。映像の作り的にやはり共通するものがある。
そこは少し残念です。
「野外ライブはフェス以外はじめて。というわけで開放的、いえ、そうは見えないかもしれないけどフジファブリックにしては開放的なライブです」くらいの振りだけだった。志村はほぼ直立不動、後期のライブのようにポーズを決めるなんてこともしない。
メンバー同士のコミカルなやり取りもなし。「フジファブリックってカッコイイじゃん!」と思うような、クールなライブです。
志村の素が出ているのは『ロマネ』ですかね。
この曲、前奏はクィーンの『ROCK YOU』にインスパイアされていますが、歌詞にも『We WILL ROCK YOU も歌える~』とある。
日比谷野音のパフォーマンスは『ロマネ』初披露ってことで、ネタばらし的なその歌詞に差し掛かる辺り、志村がちょっとニヤッとします。
なお、レコーディングの前だったのか、歌詞は本チャンと少しだけ異なります。その辺りのトリビア的な楽しみも堪能しつつ。
(セットリスト)
- 桜の季節
- 虹
- モノノケハカランダ
- 地平線を越えて
- 消えるな太陽
- サボテンレコード
- ロマネ
- 茜色の夕日
- 環状七号線
- 打上げ花火
- 追ってけ 追ってけ
- 陽炎
- ダンス2000
- TAIFU
- 銀河
『フジファブリック Live at 渋谷公会堂』―06年12月25日
2006年12月25日、クリスマスの一夜限りのライブ。
フジファブリック初のホールワンマンでもあります。3年後の同じ日には志村正彦はもういないのかと一瞬よぎってしまうものの、掛け値なしに楽しいライブです。レーザー使ったり、「フォース志村!」みたいな演出もダサカッコよくてよいですよ。
その前の日比谷はほぼなしでしたからね。
ちなみに、著書の『東京、音楽、ロックンロール』では「この頃、ライブに対する意識が明確に変わった」と言っています。
「昔は、メンバーだけでステージが完結している感じだったけど、ようやくお客さんに向けてメッセージを届けられるようになった」みたいなことをね。
仲良さそうなメンバー間のやり取りはこのライブDVDあたりから垣間見られます。
マクドナルドのラジオCMにもなった『Cheese Burger』は志村はじめ、みんなウキウキしてますね。
ギターの山内総一郎がマンドリンを担当し、キーボードの金澤ダイスケが縦笛吹くとか、言い方はなんですが、学芸会っぽい楽しさがあります。
あなたにうっとりされても、と言いたくなりますが、全22曲中一番うっとりしたのは確かにこの曲。
デビュー5周年ツアーでのビートルズのカバー『I Want You』がちょっと微妙(ゴメン)だったので期待していなかったのですが、志村の声に本気で切なくなりました。
楽しい楽しい『Cheese Burger』とうっとり『Love』を聴くためだけでも、このDVDを購入した意味はあった。
ミュージシャンに「声は出てるのか?」なんて振りは非常に失礼ですが、彼の場合、終生ついて回りましたからね。
1曲目の『陽炎』は若干前のめりですし、17曲目の『モノノケハカランダ』で声が枯れたり、他でも少々音がハズれたりやらかしますが、ファンにとってはその「やらかし」すら愛おしい。一方、アンコールの『茜色の夕日』とか『虹』とか安定して上手でしたよ。
クリスマスだからなのか、珍しく志村がツートンのシャツなんか着ています。
最初は目深にハットをかぶっていてかわいい顔がよく見えませんが、途中で脱ぐから大丈夫(?)。次の『両国』ほどではないですが、やっぱり、顔がやつれ気味かなぁ。
(セットリスト)
①陽炎
②Sunny Morning
③ダンス2000
④ムーンライト
⑤お月様のっぺらぼう
⑥サボテンレコード
⑦東京炎上
⑧地平線を越えて
⑨蒼い鳥
⑩ロマネ
⑪星降る夜になったら
⑫唇のソレ
⑬Cheese Burger
⑭Love
⑮打ち上げ花火
⑯マリアとアマゾネス
⑰モノノケハカランダ
⑱TAIFU
⑲銀河
(アンコール)
茜色の夕日
虹
Birthday
『フジファブリック Live at 両国国技館』――07年12月15日
『Live at 両国国技館』については、コチラにも書いたのですが。
ドキュメンタリーのように演出にこだわったライブ映像です。音質もいいです。
志村自身、仕上がりをかなり気に入っていたようで『東京、音楽、ロックンロール』でも何度か触れていました。「アレンジがスタジオ盤と結構違うけど、曲によってはこっちの方がいいんじゃないかというのもある」と。
この『虹』はフジファブの全ライブの中でも最強かと。
メンバー紹介しつつで、ものすごく尺も長くなっているのですが、これまたウキウキします。個人的には『虹』だけとは言わず、残っているライブパフォーマンスのなかでいっとう好きです。
金澤ダイスケをいじり倒し、髪をぐしゃぐしゃにし、ここでもまた志村のあくなきダイちゃん愛を感じる。
『FAB CLIPS』でPV監督のスミスが「志村は『金澤くんをもっと出せ!』ってよく言うんだよね」と暴露していましたが、このDVDでも言ってたのかね? ダイちゃんとの共作『星降る夜になったら』も新曲として披露しています。
カラオケでもかなり歌い込んできたと思われる『開店休業』で、志村の珍しい「愛してるよ」の歌声も聞けます(※自曲では「愛してる」とか「好き」みたいな歌詞はほとんど使ったことがない)。
一方、ライブで気になるのは志村がかなり痩せていることかな。「この時期、体調不良で40キロ台に突入しそうだった」と本人も書いていましたね。
渋谷公会堂ライブでやや痩せが目立ち始め、このライブがやせぎすピークというか。
オマケ:
エンドロール曲の『Day Tripper』はPVです。志村がちょっとアイドル風でかわいいんだけど見ているこっちが照れくさい。ちなみに、この曲、サビが『ないものねだり』と同じというフジファブ・トリビア的な作品でもあります。
(セットリスト)
- Surfer King
- モノノケハカランダ
- Sunny Morning
- B.O.I.P.
- パッション・フルーツ
- 星降る夜になったら
- 唇のソレ
- 夜汽車
- 蒼い鳥
- 地平線を越えて
- 環状七号線
- 若者のすべて
- TEENAGER
- 銀河
- TAIFU
- 虹
- 開店休業
- 陽炎
『フジファブリック Live at 富士五湖文化センター』――08年5月31日
Live at 富士五湖文化センター (通常盤) [DVD]
志村正彦、故郷での夢にまで見たライブを実現した日。
会場のお客さんには、あの時僕が何をどう思っていたか、言葉で説明しなくても、言ってしまえば歌わずとも、伝わってしまった気がします。筒抜けだったんじゃないかなー。
~~「東京、音楽、ロックンロール」2008、6、1の日記より~
はい、筒抜けでした。DVDですら。
冒頭からこちらが恥ずかしくなるほどの先走り感。
かと思えば、一瞬歌詞が追っつかなくなったり、音ハズす曲もあったり、最後には泣いちゃったり。
そうなのです。それが、いいのです。
ライブ開始前に会場に『大地讃頌』が流れるのですが、これは志村の中学時代の(ほかの生徒とともに歌った)合唱を使ったもの。富士五湖文化センターは合唱コンクールで使われた場所だったそうでね。
つまり、最初の演出は志村のアイデアだったってことです。
しかし、改めて聞くと染み入りますね、「大地讃頌」は。中学当時は「大地を愛せよ」とか「大地に生きる」とかなんじゃそら知らんよ、と思ってましたが。
志村に話を戻します。
彼はこの頃、心身ともに決していい状態ではなかった。
曲ができずに気持ちが落ちたり、ポリープもできて手術の必要性を迫られた時期でもあった。痩せぎすが目立った両国の時よりは若干ぽっちゃりし、元のかわいい顔に戻ってますが。
MCでは「誘いはあるけど他のライブとか断ってる」と言い、あたかも厳選しているようなニュアンスでしたが、実際は単にへとへとだった。アンコールのMCでは「また、ライブがやれることを目標にがんばります」と言っているし。
ともあれ、そんな中でためにためたエネルギーをさく裂させたという感じ。
志村正彦にとって転換点になるようなライブです。
手術前のライブですからね。
「裏声を出そうとすると声がスッーと抜けちゃっておかしいなというのがあった」と本人も認めていますが、『若者のすべて』あたりでかすれている。そもそもこの曲は音を取りづらく安定した歌唱だったことはあまりない気がしますが。
一方、かすれ気味の『茜色の夕日』は色気があってかえってオツ。
最後の最後の「~~しまった」あたりで泣いてしまって声が出なくなるものの、バックで奏でられるメンバーのコーラスが優しい。なんといおうと、前期フジファブリックの集大成的なライブではある。
たしかに。
肩と胸がはだけすぎなので、そこは直したくはなります。
(セットリスト)
①ペダル
②記念写真
③B.O.I.P.
④Sunny Morning
⑤chocolate panic
⑥桜の季節
⑦唇のソレ
⑧ロマネ
⑨線香花火
⑩浮雲
⑪まばたき
⑫若者のすべて
⑬星降る夜になったら
⑭銀河
⑮TAIFU
⑯Surfer King
⑰TEENAGER
⑱茜色の夕日(En1)
⑲陽炎(En2)
『Official Bootleg Live & Documentary Movies of “CHRONICLE TOUR”』09年6月7日~7月16日
Official Bootleg Live & Documentary Movies of “CHRONICLE TOUR”[DVD]
志村生前最後の年のツアーDVDは次の『GOGO~』もありますが、メンバーが大きく映っているのが見たいならこちらの「CHRONICLE TOUR」の方がメおススメ。ステージからの寄りショットもあって後ろ姿や横顔も拝めます。
山内総一郎の透明ギターも見られます。
その決意としてクロニクルツアーでは透明ギターを使ったと語っている。
よりによって、2009年はツアーカメラが入っていなかった。
『デビュー5周年ツアー GoGoGoGoGoooood!!!!!』と本作とは内部向けの記録映像を編集したものなので画質はイマイチです。
盛り上がってる観客のうごめく手が邪魔(!)がステージが見えなくなることもある。その手が照明の加減で暗くなったり、透明になったりで結構シュール。観客の手のうごめきを横目でちらっと確認する志村の姿はありましたが……。
志村、体調よさそうには見えません。
「イェーーーー!!!」とか雄たけびは上げてるんですが、なんだか気が入っていない。できるだけ体力を使わないでライブを完遂しようとしている人のような……。
声もはっきり言って出てないです。『アンセム』あたりでは音はズレまくってるし。志村はずっと帽子小僧なのですが、顔よく見えない不満もありつつ、たまにちらっとみえると、むくみが気になったり、表情が乏しかったり。
ごめんなさい。志村ファンとしてはそれすらも嬉しいわけですが。
※DVDでツアー風景のリーフレットが入っているのはこちらと5周年ツアーのみです。
さて、本DVDは二枚組なのですが、「CHRONICLE」のスウェーデンレコーディングが非常にいいわけですよ。
別物です。
ややこしいのですが、CDの「CHRONICLE」にもオマケのレコーディング映像はついてますね。
オマケといっても1時間強も!メンバーの副音声がついていたり、スウェーデン女性にアンケートを取った「誰が一番カッコイイか選手権」みたいなバラエティもありと結構な充実度ですが、レコーディング中のコメントはじめ公式っぽくソツがないとも。
一方、こちらのDVDは完全版とうたっているだけにだけに描写が細かいというか、カットされがちな話も残されてる気がする(実はこっちのがファンは嬉しい)。
「マンションの窓が開いてて裸の男女がいた!!」みたいな、どうでもよい話を嬉々として話す志村がいたりね。
CDの方は日本でのレコーディング風景はほんの一部でしたが、こちらはもう少し多め。
亀田誠治氏(『SUGAR!!』のプロデューサー)との仲の良さもうかがえ、「上でゆっくり話そう」と一緒に席を立ったり、志村の言葉にいちいち大笑いする感じにほのぼのします。
一方、「ああ、やっぱり……」となんともいえない気になるのは志村の食欲のなさですね。
「食べると眠れなくなるので」お店に入っても志村ひとり食事をオーダーしないとか。この辺の心配を煽りそうな話もCDのオマケの方では触れられていなかったし。
メンバーみんなで動物園に行くシーンがあるのですが、ラストの儚げな志村のたたずまいはなんとも切ないですね……。
ディレクターズカット版 “CHRONICLE” スウェーデンレコーディングDISC2
1、Laid Back
2、 Merry-Go-Round
3、銀河
4、バウムクーヘン
5、 クロニクル
6、Clock
7、同じ月
8、タイムマシン
9、ルーティーン
10、Strawberry Shortcakes
11、TEENAGER
12、TAIFU
13、All Right
14、虹
15、Sugar!!
16、 Anthem
17、Stockholm(全17曲)・特典映像
“CHRONICLE TOUR” MC集 (全国9会場10公演)
『Official Bootleg Movies of “デビュー5周年ツアー GoGoGoGoGoooood!!!!!’』――2009年9月29日~10月23日
こちらは、志村の生前最後のツアー。
急逝の2か月前の開催ですが(付属のリーフレットを見る限り)血色もよさげだし、一時期ほど痩せぎすな感じもしない。声は出てないけど。
Official Bootleg Movies of “デビュー5周年ツアー GoGoGoGoGoooood!!!!!'[DVD]
このライブ前後、「志村がかわいくなった」とファンの間でも評判だったらしいですが、たしかに志村かわいさMAXって感じです。
『フジファブリック Live at 富士五湖文化センター』あたりと比べると、志村のファッションセンスも変わっています。スタイリストが入ってるのかな?当時、流行っていたサルエリパンツがよく似合っています。
日比谷野音の志村が「美しさMAX」なら、こちらは「かわいさMAX」。
なんとでも。もうどうとでも。
ただし、この5周年ツアー、一つ問題が。
前述の通り、画質も音質もめちゃくちゃ悪いわけです。
こんなにかわいいのに(付属のパンフ見る限り)志村のアップはほぼありません。
映し出されるのは全身ばっか。実際のライブだったらこの体感が近いのかね。他のDVDは大きいホールばかりですが、今回、小さいハコもあったりして距離感が新鮮ではありますが。
よりによって5周年なのに「なんでツアーカメラが入ってないんだ!」と恨みたくもなりますが、ファンとしては発売してくれただけでもうれしい。
というのも、志村当人としてはあまり世に出したくなかったかもしれないなとも思うわけです(本編は没後10年経った2019年に発売)。
音質が悪いとか以前の問題で、クロニクルツアー同様、音はずれっぱなし疑惑満載。8会場10公演のツアーを切り貼りして1曲に編集していますが、ライブとして通しで見るには少々疲れる。
とはいえ、『デビュー5周年ツアー GoGoGoGoGoooood!!!!!』はその点を補ってあまりあるんですね。10公演からの編集映像なので志村のMCはたんまり。
さらに、フジファブリックの秘蔵映像もたんまり。
ありそうですね。
2004年から2009年5周年ツアーまでの軌跡です。
デビュー当時のインタビューあり、ロック・イン・ジャパンのフェス舞台裏(ダイちゃんと総ちゃんと『地平線を超えて』を口ずさんでる)あり、レコーディング風景あり、飲み食い中の雑談風景あり。
公開するつもりはまったくなかったろうなという秘蔵映像も多いのです。
また、ライブの途中でその曲のレコーディング風景や昔のライブが挿入されたりね。2002年のインディーズの頃の下北ライブまで入ってるし。志村の「やや固太り気味じゃね?」という時代まで残っていて稀少です。
ディスク:1
- Sugar!!
- NAGISAにて
- Sunny Morning
- TEENAGER
- バウムクーヘン
- 雨のマーチ
- 打上げ花火
- 地平線を越えて
- ロマネ
- 若者のすべて
ディスク:2
- Surfer King (En)
- 銀河 (En)
- 虹 (En)
- “デビュー5周年ツアーGoGoGoGoGoooood!!!!!” MC集 (全国8会場10公演) (特典映像)
- 赤黄色の金木犀 (ライブ映像)
『フジフジ富Q』――2010年7月17日
これ、少し前まで中古で2万4000円くらいしていましたが、新品定価で買えるようになりました。当時のサイトもなぜか見られるようになっているし。もはや買えない物販ページ含めてね。
フジファブリック presents フジフジ富士Q -完全版- [DVD]
2010年7月に開催した『フジフジ富士Q』はもともと志村正彦が立つはずでした。会場の富士急ハイランドコニファーフォレストは15歳の志村が、奥田民生のライブを見て「オレはミュージシャンになる!」と決意した思い入れのある場所でもあり。
ライブ予定は前年には決まっていて、志村自身、奥田民生との対談で「ゲスト出演してくださいよ」みたいな直談判をしていた。
↓たしか、この号で。
志村急逝により、『フジフジ富士Q』はバンドゆかりのあるアーティストたちの志村トリビュート的なライブとなりました。民生は1発目(「桜の季節」)とトリ(「茜色の夕日」)を飾っています。
何しろ、斉藤和義とかスカパラとか氣志團とかそうそうたるメンバーです。
くるりの岸田が「(こんなライブができるなんで)同じミュージシャンとして羨ましい」としみじみ語っていましたが、そりゃ本当にという感じ。
1人あたまフジファブリックを2曲歌って次に交代。バックはもちろん現フジファブリックメンバー。
全3時間40分あるライブですが、いちいち見どころしかなく長さはほとんど感じない。アーティストが語る志村エピソードも貴重でね。湿っぽさはなくフジファブメンバーもゲストもみな爽やかで楽しそう。初夏っぽいライブです。
ただ、吉井和哉だけは志村への弔いの気持ちが前面に出たか、曲中も若干涙目な感じがしたかな。
富士の夕闇に歌声が被り、画面越しの色香も濃厚、魂震えますよ。Amazonレビューに「当日会場にいたけど『アンセム』の感動はDVDではさすがに伝えきれないかな」と書いていた方がいましたが、生はどれだけすごかったのか!
いや、全員なんですけどね。
これまたレビューの意味をなさないので個人的感動を並べますと、藤井フミヤの『タイムマシーン』は本人の歌みたい。ものすごく丁寧な歌唱でもある。チェッカーズ世代の自分はフミヤの歌をなんだかんだと遠巻きに耳にしてきたわけですが『タイムマシーン』は彼の中でもかなりベスト。
和田唱(トライセラトップス)の『陽炎』も終わった瞬間にリピートしたくなる悪魔的パフォーマンスです。
もうカッコイイとしか言いようがない。当人いわく、この曲が特別で大好きなんですって。
ナルシスティックな演技過剰ぶりも舞台映えしますし、曲中で「キーボード!金澤ダイスケ!」と叫んだ時はまたまた打ち震えました。(※『陽炎』はダイちゃんの神キーボードのたまもの。志村はこの曲の最中によくダイちゃん紹介をしていた)
もちろん、奥田民生や斉藤和義も予想通りの安定感で・・・と続けていくと全員触れることになりそうなので。
絶対に外せないのはフジファブリックの『会いに』でしょうか。
初めてのボーカルが1万6000人の観客前ってどんな修行か!って感じですが、やっぱりね、顔がめちゃくちゃ強張ってます(でも、声はちゃんと出せてる)。
その初々しさに観ている方がドキドキします。初めての初めて感が収められているライブなんてなかなかない。ベースの加藤慎一が頷くように笑顔を見せるのもほっこり。
もう一つ、忘れてはならないのがキーボード、金澤ダイスケのMCです。
『週刊金澤』にも書いてありましたが、マネージャーからは「(次のバンドに)秒速で転換するから一言しゃべるだけだから」って言われていたそうなんですね。
そうなのです。
当人としても予想外だったのか前半はその困惑が手に取るよう。無意味に言葉を伸ばすとか、同じ言葉を繰り返すとか、間が持たない人がやりがちな人間らしいリアクションでニヤニヤします。
なぜか突然こなれてきます。ダイちゃん、飲み込み早いんですね。
同ライブはYouTubeで一部流れていますが、フルで見るのが絶対おススメ。
ライブスタート前、会場に響き渡る『大地讃頌』(※『フジファブリック Live at 富士五湖文化センター』にも収録。志村が中学時代に生徒全員で合唱したもの)から映っている。ライブ後のプロジェクター上映ではありし日の志村の姿が『若者のすべて』とともにね。
会場にいた人たちが心底羨ましいです。本当に行きたかった。行きたかった。フジファブ事務所社長公認で「志村にちなんでタダ見OK!」だったらしいですし。実際には、タダ見人間はいなかったみたいですが。
DISK 1
①桜の季節 / 奥田民生
②虹 / 安部コウセイ(HINTO)
③モノノケハカランダ / 安部コウセイ(HINTO)
④ダンス2000 / ハナレグミ
⑤ルーティーン / ハナレグミ
⑥バウムクーヘン / クボケンジ(メレンゲ)
⑦赤黄色の金木犀 / クボケンジ(メレンゲ)
⑧地平線を越えて / 斉藤和義
⑨笑ってサヨナラ / 斉藤和義
⑩TAIFU / ハヤシ(POLYSICS)
⑪B.O.I.P. / ハヤシ(POLYSICS)
⑫タイムマシン / 藤井フミヤ
⑬若者のすべて / 藤井フミヤ
⑭ダンス2000 / 氣志團
⑮茜色の夕日 / 氣志團
DISK 2
①Strawberry Shortcakes / 和田唱(TRICERATOPS)
②陽炎 / 和田唱(TRICERATOPS)
③TEENAGER / 真心ブラザーズ
④線香花火 / 真心ブラザーズ、スカパラホーンズ
⑤Surfer King / スカパラホーンズ(インスト)
⑥DOKI DOKI / PUFFY
⑦Bye Bye / PUFFY
⑧花 / 片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito)
⑨サボテンレコード / 片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito)
⑩マリアとアマゾネス / 吉井和哉
⑪Anthem / 吉井和哉
⑫Sunny Morning / くるり
⑬銀河 / くるり
⑭会いに / フジファブリック(山内総一郎)
⑮茜色の夕日 / 奥田民生
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[adcode] 志村時代のフジファブリックを知りたいあなた、はじめまして。 自分で言うのも何ですが、本シリーズは志村時代のフジファブについてはネット上にあるどの情報よりも詳しいと思います。 かくいう自分はデビュー15周年[…]
タイトルについて補足。ご存じの方は蛇足で失礼。 志村正彦とはフジファブリックの元ボーカルです。名ソングライターでもあり、バンドの代表曲『茜色の夕日』や『若者のすべて』のほか、他アーティストの作品など80曲以上を生み出しました。 […]
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