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出版社29社落ちた人間がどうやってライターになれたのか?【最初の入り口・就職編】

就職活動で29社も落ちた私ですが、ライターで生計を立ててはや25年。未経験からスタートし、映画や書籍やファッションのコラムであったり、芸能人や文化人、経営者であったりのインタビューを多く手掛けてきました。

みじめん
例えば、ジョージ・ルーカスとか、ジョージ・ルーカスとか。

 

 

キャリアの下りになんとなし「(・д・)チッ」と思った方もいるでしょう。自分でも「はいはいはい」という気分になりますよ。でも、これを書かないと以下の話の信頼度も薄れそうなのでね。これ見よがしな感じも勘弁。

このご時世でライターになりたい人なんてどれだけいるのかわかりませんが

今回は「どうやったら、ライターになれるのか?主に就職編」。

「20数年前のお前の体験なんか役に立たねぇよ!」と思ったあなた。3分の1くらいはその通り。一方で出版業界は成長産業ではありません。

これは悲しむべきことですが、その要因として20年、30年くらい前から「体質、ほとんど、変わってねぇじゃん!」ってことが挙げられます。つまり、昔話が十分通用する業界であるということ。

出版社を落ちまくった自分&知人ライターの体験を併せつつ、「ライターになるための入り口」について考えたいと思います。

みじめん
就職活動がうまくいってない人も励まされるよ、多分。

ライターなんて憧れだけでなれます

まず、大切な前提。

「ライターになりたい」と言う人たちが、誰でも一度は言われるだろうフレーズがあります。

みじめん
憧れだけでなれるものじゃないよ

まぁ、一見クリエイティブっぽい業種にはつきもののセリフです。

私自身、何度言われてきたことか。
業界新聞の記者から映画ライターへ転向を図ろうとした時(注:のちに成功)も、とある情報誌の編集者に言われました。既に記者としてのキャリアは4年以上あったというのにね。

その職業になれるかなれないかは「憧れ」とは関係がありません。誰が言い出したのかと思うくらい、まったくロジックのない発想なのですが、それをしたり顔でいうようなバカがいるわけです。

私自身は面倒見の良いタイプではまったくないのですが、ライター志望者に「憧れだけでなれるものじゃない」などとうそぶくことだけは絶対にしまいと誓いました。

だって、ライターごとき、憧れだけでなれますからね。

みじめん
そこにロジックはあるのか?

禅問答めいて来ましたので、スルーして先を行きます。

今、ライターの私は当然のことながら、元はライター志望でした。当時は認めたくありませんでしたが、私はミーハーな人間でした。

「書くことが好き」というのは前提としてあったものの、ライター志望だった真の理由はギョーカイ人(この言葉、とっくに死んでますね)になって、有名人に会ってみたかったのだと思います。

みじめん
ぬけぬけとよく言う

本当のところ、志望動機なんて何だってよいってことです。

あなたが今の今、「佐藤健に会いたいから、ライターになりたい」みたいなことを考えているなら、その気持ちをぜひ足掛かりにして良いと思います。というか、目標がないところに実現はありません。

少なくとも「憧れ」云々の話よりもロジックがありそうに思いませんか?

「一見さんお断わり」な出版業界は入ったらグダグダ

 

しかし、実際問題、どうやったらライターになれんのか?という話もある。

過去に29社落とされた私だからこそ言うのですが、出版業界は閉ざされた世界でね。入り口はないわけではないけれど、妙にもったいぶって狭かったりする。入ってしまえば、結構なグダグダ感なのに「一見さんお断り」の空気があるのが、この世界。

みじめん
資格があるわけでなし
みじめん
自分でライターだと宣言すればよし

これもよく聞く話ですね。そうして、ほとんど解決策になっていない。

クラウドソーシングやココナラあたりで宣言することもできるでしょうが、佐藤健には生涯会えないままで終わりそうです。副業ならそれもいいですが、も少し本気度の高い人向けに考察しましょう。

ライターの入り口はどこにあるのか

まず、入り口ですが、自分や自分周りのライターの過去を思い起こすとこんな感じ。

・出版社や業界紙、編プロに入った(またはアルバイト)
・オウンドメディアやサイトなどに「仕事ください」メールを送った
・マスコミ関連のスクールや交流会に参加してツテを作った
・ブロガーになって声が掛かった
・ミュージシャンとか映画監督とか、あるいは何かの専門家になって声が掛かった

最後は除外します。周囲を見回すと、新卒で出版社に入社したみたいなのは別として「一発でいきなりライター」は結構少ないんですね。

いろんなところに応募しまくってその過程で落ちまくってみたり、色気出して周囲に紹介頼みまくってその過程で引かれたりしつつ、やってるうちに「ライター職にありつけた」みたいな感じ。言ってしまえば「数打ちゃいずれは当たる」の世界でもある。

途中過程のイヤな気分にめげず「ライターになりたい」活動を続けられる人ならば「佐藤健に会いたい」レベルの目的なら必ずや達成できます。

ホントですよ。

大手出版社に入れれば、その時点で上がりです。でも、まずムリです。

まずね。当然すぎて、つまらない話からします。

あなたが学生であったり、若人である場合。一番の理想は出版社か新聞社に入ることです。

 

今はオウンドメディア盛りですから、出版系に入らなくても書けるチャンスはある。

けれど、上司に「書けるスキル」を持った人間がどれほどいるかはわからない。「文章はまったく書けないけど配属されてしまった」みたいな人もたまにいる。確率的に言って、未経験なら「餅は餅屋」で修行した方が安全ではある。

アスリート取材をやりたいならスポーツ誌のある出版社に、映画の取材をしたいならカルチャー誌のある出版社に、ノンフィクションを書くようなジャーナリストになりたいなら新聞社か、週刊誌のある出版社に。

そううまくはいかないって?

ハイ、多分、うまくはいかないでしょう。

大手出版社の表だった求人募集は、ほぼ新卒しかありません(※中途採用は、ほぼ紹介)。

この業界の大手というもの、未だ学歴社会です。早慶以上でなければエントリーシートで落とされます。先頭に立って発信する側のくせに、諸々の感覚が保守的だったりもする。

じゃあ、中堅どころの出版社を狙うかというと、中堅どころは新卒を取るほどの余裕はなく中途採用ばかり。未経験者は不可だったりね。

みじめん
その中堅どころの社員はどこで経験を積むのか?
みじめん
大手で修行して中堅に移ったのか?

そんなバカな。
私にも謎です。業界として結構ゆがんだ構図なわけです。

少しだけ良いことといえば、中途採用の場合、大手も中堅も学歴はさほど問われなくなるってことでしょうか。その分、未経験は厳しいですけどね。

社員ライターの求人はほとんどない!?

ところで、ライター志望で就職しようとするとがく然とすることがあります。

出版社の求人はほとんどが編集職なのです。正社員のライター募集は新聞記者か一部のメディアサイトに限られます。

みじめん
編集とライターの違いって何?

私も最初はよくわかりませんでした。
詳細は別途書きますが、編集者の仕事は全体のディレクションです。企画を立て、ライターやカメラマンに取材を依頼し、取材に同行し、原稿をチェックする等々。編集者が記事を書く場合もありますけどね。

 

一般的に言われるようなライター職は、実はほぼフリーランスの立場になります。

とはいえ、「いきなりフリーランス」はなかなか厳しい。今はWebもあるし、私の大嫌いなクラウドソーシングもあるので、チャンスはないではありませんが、人脈も広がりづらいし、食べていくのは難しい。多くは社員なりアルバイトなり、どこかの編集部で経験を積んでから独立するように思います。

ライター志望が編集経験を積んだ方がよい理由

「ライター志望なのに編集で修行しても」と思うあなたもいるかもしれませんが、編集もできるライターは非常に重宝されます。よって、仕事のチャンスは倍に!

個人的においしいと思うのは編集者という立場上、さまざまなライターの文章を読むことができるってことです。取材もしかり。

実は、フリーライターになると編集者と仕事をすることはあっても、ライターと仕事することはまれです。

ライターは同業者の仕事を見る機会が少ない。

細かいことを言えば、ギャラの交渉をどうやってるのかもよくわからないし、自分の仕事の進め方が合ってるのか、合ってないのか(厳密にはこの基準はおかしいですが)よくわからないわけですよ。

編集者としてライターの仕事を見る機会を与えられるのは、絶対にプラスになるはずです。

「まずは書きたい」ならWebメディアか業界紙か

いやいや、「わしは文章修行をがっつりしたいんだ」と言う人もいるでしょう。

Webメディアや新聞なら「ライター募集」「記者募集」は少なくない。っても、大手新聞社は多分ムリなので、もっと泥臭いところで業界紙あたりが入りやすいです。

あとは編プロやカルチャー系の出版社あたり。この辺は編集者自身が取材、執筆を担当することが多いです。大所帯ではない分、自分のやりたい分野の希望も通りやすい。それだけに忙しく、忙しいのに給料は少ないというジレンマはありますが。

ともあれ、未経験の場合、上記に潜り込むのも容易ではありません。特に音楽系のライターは「ライターヒエラルキーの頂点」みたいな時代もあり、「1人の選考に1500人の応募」とかザラでした。実をいえば私も落ちましたよ、ロッキング・オン。

みじめん
落ちたのはロッキング・オンだけじゃないけどね。

忙しい出版社、ヒマな出版社

みじめん
受ける前からヒマな会社がいいとか、ダメね。

ダメだけど気になるところではあるでしょうから、個人的な雑感を。

月刊誌や週刊誌の編集部、編プロ、音楽雑誌の編集部なんかは多忙イメージ強いです。

要するに「名前が知られている」とか「若人に人気」みたいな媒体は大体忙しい。そりゃ、そうでしょう。

「売れっ子なのにヒマ」なんてはずがありません。働き方改革やらなんだらで大分まっとうになってきたかもしれませんがね。

人気の雑誌でも編集部にお母さん率が高いと比較的帰りやすい雰囲気だとは思います。そこそこ大人向けの女性誌とかね。

みじめん
さすがに定時はムリと思うけど。

業界紙とか学術書だったりの地味めな媒体は定時帰社なんてところも昔から普通にありますよ。私は業界紙出身ですが、泊りがあったのは5年間で一度のみ、ほぼ毎日19時までには帰社していたような。ファッション系の『WWD』だとか、一部業界紙でも忙しいところはありますがね。

昼出社も多く、直行直帰も多いのがマスコミです。パーティ出席で会食とか、結局、紙面に載せることのなかった映画試写とか、取材で疲れたからカメラマンとカフェで一服とか、仕事してるんだかなんだか、「いや、してないよね?」みたいな時間が多いのもまた事実であったり。

みじめん
それは社会人全般に言える事実。

そうでしたね。

【体験談】なぜ、29社も落ちたかを考える

最後に体験談を。

ここまで上から目線で書いてきたわけですが、私自身、ライターになろうとして落ちまくった時代があったわけです。24歳の頃に29社とかね。今思うと、そりゃ落ちるだろうくらいにぼんやりした若人だったんですが。

みじめん
有名人に会いたいからライターやりたいとか。

そんなことは面接では言いません。普通、言いません。ただ、面接のあと、がっくりうなだれ、手帳に記した記憶があります。「次々と暴かれる自分のペラペラさよ」とね。

もう一つ、覚えているのは同じ頃、山口智子が22社連続で落ちていたこと。本物の話じゃないですよ。当時、ヒットしていた『ロングバケーション』の役どころですね。キムタクに「22社なんて、すげーな」みたいなことを言われているのを見て、「勝った!」と思った気がします。


ロングバケーション [DVD]

落とされた自分が言うのもなんですが、受けたのはショボい会社ばかりでした。

新卒じゃないから大手も準大手も受けられない。そのくせ、未経験だからして応募資格があるのは聞いたことのないような出版社ばっか。

社名はまるで覚えていないのですが、聞いたことのない雑誌を作っているような編プロとか学術書を扱うような出版社とか。佐藤健には会えなさそうな会社ばかり。

みじめん
健はまだ幼児だったんじゃないかな。

本当のところ、佐藤健はどうでもよく、当時の私は映画ライターになりたかったわけです。
だけど、履歴書を送った先には映画はおろかエンタメ系の会社なんて殆どなかった。

なぜなのか?

単にその手の求人を見つけられなかったから。

とにかく目についた「出版っぽい」求人に手当たり次第、履歴書を送っていたというわけで。

そうして、次々送り返されてきたわけです。
お祈りメールどころじゃないですよ。
あの時代、届くのは現物です。封筒の厚みを見れば、わかるわけです。あ、履歴書入ってるなと。それが29通とか。

みじめん
なんで落ちたと思う?

その考察をしないと意味がないですよね。
25年くらい前ですから、面接で何を言ったかは正確には覚えていません。ただ、自分が相当ペラペラであったろうことはリサーチの甘さから予測できることで。

当時はリクルート系の就職雑誌が花盛りです。それを毎週チェックしていたわけですが、マスコミの求人なんかショボいのしか載っていない。インターネットなんてないからして、その会社を検索することもない。

面接の段で「その会社が何やってるのかを初めて知る」みたいなのばっか。

これではダメでしょう。ネットがあるなしに関わらず、情報の仕事をしようとしている人間が情報を得ようと努力すらしなかっただなんて!

「情報を得づらい時代」に会社概要をキャッチしてくるような若人なら、可能性はあったかもしれません。今の時代だとフツーにネット検索くらいはして面接に臨むでしょうから大した差別化は図れないかもしれませんが。

さらに残念なのは「どうにかして知りたいとすら思わない会社に応募し続けたこと」。数打ちゃ当たるにもほどがあります。

マスコミの求人は知り合い経由が一番多いです。

だけれども、当時だって朝日新聞の求人欄ならマスコミ関連のものがあったはずなのです。新聞を取っていない自分はそれすら知らなかったという。情報弱者なのにそっちを志したという。

えーとね。25年前の教訓をまとめます。

「何度やっても落ちる」とか「自分だけがままならない」とかいう場合。

別に就職活動に限らないですよ。
ダメなサイクルに入っている人は大体が私のようなパターンなんですね。

根本の打ち出し角度を間違えている。第三者から見たら、本当にやるべきところにエネルギーをかけていないわけです。

何十通も履歴書送って自己満足するよりも、やりたいと思う求人の情報収集に心血を注ぐべきだった・・・・・・。

そうすれば、18社目くらいには受かったかもしれません。

みじめん
とにかく求人情報は隅なくチェックしろってこと。

 

バカは「数打ちゃ当たる作戦」で行け!

みじめん
だけどさ。結局、数打ちゃ当たったんだよね。

当たりました。
29社目でファッションビジネスの業界新聞に入りましたよ。
就職活動を初めて1か月半くらいでしたかね。

みじめん
落ちた28社と受かった1社の違いは何?

正直言ってわかりません。
面接慣れしたのか、どうかも。特にいいことを言えた気はしません。ぼんやりと覚えているのはおじさんの面接官が4名いる中、初めから感触が良かったような。単に相性の問題だったような。

怒られるかもしれませんが、選考通過の一番の理由はそれまで28社も落ちたからではないかと。私は神様系の人間ではありませんが、単に神が思っただけではないかと。「わかった。もうしょうがない。受からせてやるか」みたいな。

当時の自分はダメな若人にも過ぎましたが、今の自分にはない根性があったのでしょう。バカでボケでも頑張り屋さんなら道は開けるってことです。

であるからして、25年前の就職活動失敗と成功のまとめ。

① 早く受かりたい人はとにかく死ぬほどリサーチを!
② リサーチできないバカも継続できれば必ず受かる

あまりに長くなったので今日はこの辺で〆。
次回はライターになりたいけど「就職したくない」とか「もう若くない」とか、ライターなんだけど「ショボい出版社なので別のとこに転職したい」人たちに向け、また書きます。

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