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【新型コロナ・映画4選】当時はコケた『コンテイジョン』が再注目。Gパルトロウの怪演もすごいぞ!

コロナ戒厳令下で突然売れ出した作品といえば、カミュの『ペスト』。

そして、スティーブン・ソダーバーグ監督の『コンテイジョン』かってところでしょうか。


コンテイジョン (字幕版)

みじめん
2011年の映画ね。

震災の年に公開したこともあり、日本ではあまり話題にならずに終わったのですね。

それが2020年3月末時点でAmazonレビュー1100件超え。そのほとんどがコロナ騒動が始まった以降に書かれたもの。

『コンテイジョン』とは感染の意味。
あなたのご想像通り、新型ウィルスでパンデミックが起こった世界を描く映画。最初は咳から始まってね。急激に悪くなってあっという間に死んでしまう。

病院のベッドだけではなく遺体袋まで底をついたり、ワクチンの開発とその争奪戦があったり、ネットでデマを流す過激派のジャーナリストが出てきたり。

みじめん
今のコロナを予言したかのよう。

『コンテイジョン』オスカー俳優勢ぞろいも全員脇役、主役はウィルス

本作はね、キャストがめちゃくちゃ豪華です。
マット・デイモン、ジュード・ロウ、ローレンス・フィッシュバーン、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウインスレット、マリオン・コティヤールとかね。

オスカー俳優ばっか。
だけど、贅沢なことに全員脇役です。何故ってこの映画の主役はウィルスですから。

女性陣3人のうち2人はそのウィルスに殺されてしまいます。

みじめん
グウィネス・パルトロウ?

それを言いますか?

最初の15分で死にますからいいか。ネタバレと思ったらごめんよ。


コンテイジョン (字幕版)

まぁね、映画のジャケット写真見ればわかりますね。右下のね。これ、グウィネス・パルトロウですよ。とても、グウィネスとは思えない顔つきでしょう。よくスチールを許したと思います。

グウィネスの出世作『恋に落ちたシェイクスピア』もペスト流行下だった!

グウィネス・パルトロウって、今の若人たちの中でどんなポジショニングになっているのかわかりませんが、出てきたばかりの頃、ハリウッド女優らしからぬ清廉な感じのルックスでメチャクチャ可愛かった。今も綺麗ですけどね。


恋におちたシェイクスピア(字幕版)

アカデミー賞7部門受賞のこの作品は、偶然にもペスト流行下で劇場がどんどん閉鎖になっていたイギリスが舞台。といっても、本作はシリアスなものではなくラブコメディよりの作品ですが。

めちゃくちゃ可愛いグウィネスは、本作でアカデミー主演女優賞を取ってます。

だけど、プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインにセクハラ受けていたことが後に判明しますね。このワインスタイン、オスカー作品をたくさん輩出しています。

スティーブン・ソダーバーグ監督のデビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』(1989年)を世に送り出したのも実は彼だった。

ちなみに『コンテイジョン』に出演しているケイト・ウィンスレットもハーヴェイにセクハラこそされていないものの「『乙女の祈り』で俺がお前に役をやったことを忘れるな」と恩着せがましく言われ続けたそうですよ。


乙女の祈り [DVD]

余談ながら、最初に見た時、別の意味ですごい映画だと思いました。中二病なんて言葉はなかったけど中二病にもほどがあるんです。「さぁ、愛のためにママを殺そう!」というすごいキャッチコピーまんまの映画なんです。

(※追記 ワインスタインは2020年3月、新型コロナに感染した模様)

『コンテイジョン』でグウィネスは不倫した翌々日に死ぬ

話がそれました。
『コンテイジョン』はグウィネスの咳から始まります。飛行場で電話している相手は昔の彼氏らしい。どうやら浮気の後らしい。そうして、飛行機に乗って家族の元に帰るや、けいれん発作を起こしてあっさりと死んでしまう。

みじめん
不倫に手厳しいネット民からの呪いのようだ

まさに。
キッチンに立っていたかと思えば、次の瞬間ひきつけ起こして、アワ拭いてるみたいな感じ。呪いのように息絶える感じはコロナとは違いますね。ただ、それ以外はそっくりなのですが。

で、この時のグウィネスほどの美人女優がってほどの、すごい演技なんですよ。ジャケ右下の顔写真なんてメじゃない。頭部を解剖されるシーンもあります。恐ろしい死に顔でね。

監督のソバーダーグいわく「グウィネスは『どんな風に舌を出したらいいか』とかいろいろ相談してきたよ。40分くらい全く動かないで横たわったままだったんだ」と。

ただ、キワモノ演技をしても品があるのはすごい。まともなシーンは少ないのですが、少ないくせにチャーミングさはしっかり伝わってくるわけですよ。

人は1日に2000~3000回顔を触る(『コンテイジョン』のセリフから)

彼女の夫をマット・デイモンが演じていますが、病院で妻の死を聞かされた時の言動が苦しいです。

「残念ですが・・・」と医者がひと通り説明している間は表情変わんないんです。普通なんです。「これから雨降るから傘持ってた方がいいかも」くらいのことを言われているかのような反応。で、医者が一通り話し終えたらこう聞くんです。

「今、妻と話せますか?」

このシーンは実際にER緊急救命室の現場で聞いた話を基にしているそうですが、扱われる医療的事項は「呪いのような突然死」(後半はそういう死に方ではなくなりますが)以外、非常にリアルです。

ケイト・ウィンスレット演じる医者が説明するわけですよ。新型ウィルスの感染を広げる媒介物を。

「人は1日に2000~3000回顔を触る。起きてる間は1分に3~5回」
「その合間にドアノブや蛇口を触る。エレベーターのボタンや握手。それらがすべて媒介物になる」

この辺りも「コロナ予言か?」と言われている一因ですが、医療について監修したのがエボラ出血熱ほか感染症の専門医であるイアン・リプキン。

『コンテイジョン』の監修医が新型コロナに感染!?

今回、そのリプキンの指導のもと、マット・デイモンやケイト・ウィンスレットが「新型コロナに関する緊急提言」を配信していますね。

「人との距離を保って」とか「手を洗って」とかその手の話ではありますが、マット・デイモンのコメントは人柄がにじみ出ます。「一日中スマホばかり、いじっていたい人、今がその絶好のチャンスだ!誰かから何かを言われたら返してやろう!『僕は人類を救っているんだ!』って」

みじめん
でも、指導したドクターリプキンがコロナに感染しちゃったんだって?

らしいですね。
テレビ電話で取材を受けていたくらいですから、重症ではないようですが、「(感染症の専門家である)私でも罹ったんだ。つまり、コロナは誰でも罹る可能性がある」と。

みじめん
……。

『コンテイジョン』以外のパンデミック映画は?おススメは?

さて、監督のスティーブン・ソダーバーグは意外と器用な人で寄ろうと思えば、思い切りエンタメに寄ることもできる監督だと思います。『オーシャンズ11』とか『エリン・ブロコビッチ』とかね。


オーシャンズ11 (字幕版)


エリン・ブロコビッチ (字幕版)

この二作は多分、誰が見ても面白い。『オーシャンズ11』には「妻死亡」と言われたのに「妻と話せますか?」と真顔で聞いたマット・デイモンも出演しています。『エリン・ブロコビッチ』はジュリア・ロバーツ主演。無学無職のシングルマザーがバカ扱いされながらも、史上最高額の和解金を勝ち取る話。誰もが好きな大逆転話です。

自宅軟禁みたいなコロナ週間の時に映画観るなら、ホントだったらこっちの2本を勧めたいくらい。どちらもスカッとします。未来に希望が持てます。免疫力も高まりそうです。

一方の『コンテイジョン』は誰が見ても面白い、というものではないと思います。
話の内容のことじゃなくてね。複数の人物の視点から淡々と描かれていく感じ。地味といえば地味。けれど、ソダーバーグの本懐はこっちだと思っています。


コンテイジョン (字幕版)

公開当時、スリラー映画みたいな扱いもありましたが、そういう怖さはありません。同じソダーバーグの『トラフィック』に少し似ている。

逆に派手さがないゆえ、今の状況とリンクし過ぎて暗い気分になる人もいるかもしれない。そういう人は同じ感染ものでも『アウトブレイク』の方がおススメかもしれません。ジェットコースターのようなお決まりのパンデミック映画ですから、鑑賞後、スッキリすると言えばスッキリするはず。


アウトブレイク (字幕版)

ちなみに、こちらエボラ出血熱を描いた『ホットゾーン』が元ネタといえば元ネタ。

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みじめん
ほかにパンデミックもののおススメは?

スティーブン・キング原作の『ミスト』ですね。


ミスト (字幕版)

超常現象的な霧に町全体を囲まれてしまい、スーパーマーケットから出られなくなってしまった人々を描きます。

これはどちらかというと、群集心理のイヤーな面がよく現れている。疑心暗鬼に疑心暗鬼。エイリアン的なヘンな生き物も登場したりで結構怖い。個人的にはこの手のパニックホラーを見ると気分が結構スッキリするのでした。

なお、ラストは原作と違います。キング自身は映画のラストを絶賛していた模様。

もう一作はジュリアン・ムーア主演の『ブラインドネス』


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こちらは原因不明の感染症で人々が失明していく世界を描いたパニックサスペンスです。伊勢谷友介が最初に感染する役で木村佳乃も出ています。英語上手です。

ともあれ、失明者だけになった病棟の秩序乱れっぷりがすごいです。患者が軍隊に射殺されたり、患者同士の派閥まででき、「食料をよこす代わりに女をよこせ」みたいな展開になったり。カオス感は『コンテイジョン』以上ですが、文明崩壊の中にところどころ、美しいシーンがあります。

『ブラインドネス』は現在、Amazonプライムでの動画配信がないみたい。U-NEXTでは見れるようなので、31日間視聴タダ(※新作など除く)を利用して鑑賞する方法もある。

みじめん
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※本ページの情報は20年4月時点のものです。最新の配信状況はリンク先にてご確認くださいまし。

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