「メグ・ライアン」で検索すると、ずらっと並ぶのは「劣化」とか「整形のなれ果て」みたいな記事ばっかの今日この頃です。
だけど、私はめちゃくちゃナチュラル(それが整形の産物だったとしても)で、可愛らしかった時代をよく知っているわけです。ここでいう「よく知っている」は単なる映画ファンとしてですが。
90年代のメグ・ライアンは「ラブコメの女王」みたいな異名を持っていました。
確かに少し恥ずかしいかも。常盤貴子も似たような異名を持っていましたね。
ともあれ、90年代のメグ・ライアンといえば、トム・ハンクスと共演した『めぐり逢えたら』や『ユーガットメール』、『キスへのプレリュード』や『シティ・オブ・エンジェル』『フレンチ・キス』等々、これ全身ラブコメディな感じです。
メグ・ライアンの可愛さ頼りの作品も多かったわけですが、「可愛さ」も「面白さ」も間違いなし!というのが『恋人たちの予感』です。1989年の作品。
90年代じゃないって?
まぁ、だいたいってことで。メグ・ライアン、28歳の時の出演作。『恋人たちの予感』は「ラブコメディの女王」となるきっかけになった作品です。
相手役はビリー・クリスタル。『スター・ウォーズ』のレイア姫がキャリアの頂点だったキャリー・フィッシャーもメグの友人役で出ています。
『恋人たちの予感』自己流あらすじ&ネタバレをムダ話とともに
男女共同参画型のボーイ・ミーツ・ガール
一言で言えば、ボーイ・ミーツ・ガールです。
って、『アニー・ホール』の時も書きましたね。二編ともネガティブでよく喋る男が主人公(ウディ・アレンとビリー・クリスタル)というあたり、この二作は似ている。おまけに舞台はニューヨーク。そんな話も書きましたっけ。
ウディ・アレンの映画は50本近くあります。 けれど、ウディ・アレンで1本選べと言えば、『アニー・ホール』(1978)です。 これだけは絶対に外してはならない。これだけは絶対に見なければならない。 アニー・ホール [Am[…]
ただし、『アニー・ホール』は基本的に男目線(ウディ・アレンの目線)のボーイ・ミーツ・ガール。対し、『恋人たちの予感』はメグ・ライアン側の視点と、ビリー・クリスタル側の視点が半々くらい。
男女共同参画型というか、この辺、脚本のノーラ・エフロンの影響が強いんじゃないかと思っている。で、男女雇用機会均等法が施行されて数年経った日本の女性にも、もろ手を挙げて歓迎されやすい内容だったんじゃないかと。
全然違います。
時代背景をそれっぽく読んでみただけです。リアルタイムで観た私ですが、当時はそんなこと1ミリも考えませんでした。バカな学生でしたから雇用機会均等法なんて知らんがな。
ヘンナ髪形、ヘンナ半ズボンでも魅力的過ぎなメグ・ライアン
まぁ、メグ・ライアンはクセがあって自己主張バンバンする系の女性ではある。
2人の出会いから結ばれるまでの10数年間の物語でね。定番の「最初は大きらいだった」ってヤツです。最初の出会いは社会人になる直前で、見ず知らずの二人が車で道中をともにするわけです。
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ここでメグ・ライアンの髪形にびっくりします。時代的には70年代後半か?ポップ・カルチャーのアイコン的存在だったファラ・フォーセットかって感じのヘアスタイルで、まったく似合っていません。
車内でヘアスプレーがんがん吹き付けるシーンが今となっては気になりますが、公開当時(89年)の日本もバブル&お立ち台でヘアスプレー全盛期だったなと。ちなみに、メグのキュロットスタイルもなんか変。
違います。とってもキュートです。
ヘンナ髪形、ヘンナ半ズボンのくせして5分も経てばすっかり可愛く見えてくるんです。この人、少女マンガのヒロインの大事な資質である「表情がクルクル変わる系の女の子」なんですよね。
またまた、脱線を。
だから最近は出演作が乏しいのかなとか邪推してしまうじゃないですか。
話を戻します。
最初の出会いからすぐに5年が経ち、次の出会いからまた5年が経つ。10年経って二人とも30前後、大人になってからが物語の本題です。89年代当時の現代設定ですからジャケットに肩パッドは入っている。でも、そこが気にならないほどにオシャレなニューヨーカーファッションって感じです。
一緒にレストランに行きたくない女を好演するメグ・ライアン
当時見た時も、今見ても、ぜんぜんカッコいいとは思いませんが、魅力のある人です。若作りしてますが既にこの時40歳。メグ・ライアンを見る時の優しい視線にドキドキします。
といっても、本作の重要テーマは「男女の友情は成立するか?」。ある時期まで完全友情ベースで進むので、その視線もごくわずかですが。
ビリー・クリスタルの役どころは初回の登場と、10年後とで結構印象変わります。「小説はラストから読む。読み終わる前に死ぬと困るから」などと言う面倒くさそうな男だったのが、10年の間に結婚・離婚を経て丸くなったか。
「クヨクヨするけど、適度に面白く、適度に包容力のあるいい奴」に変わっている。普通にモテそうです。
一方のメグ・ライアンの役どころは一貫して「ポジティブだけど、面倒な女」。こうでなければならない、が非常に多く、例えば、ウェイトレスへの注文も細かすぎる。ビリー・クリスタルにも突っ込まれていますね。
「サラダを頂くわ、ドレッシング抜きでね。お酢とオイルを別に添えて。サーモンソースも横に添えて。君は何でも“横に添えて”だ!」
友達なら引きます。でも、メグ・ライアンがやるとチャーミング。「クルクルよく動く少女漫画系ルックス」なのでヘンなクセがあるのが返ってよし。
もし、これが空気読める系だったとしたら『恋人たちの予感』は30年後まで残っているはずもない。私も見直すことはなかったわけです。
「寝る前に聞きたいのは君の声なんだ!」と書いたノーラ・エフロンのことも少し
そんな『恋人たちの予感』の告白シーンは史上最強だと思ってます。ビリー・クリスタル(の役)がメグ・ライアン(の役)に言うわけです。
「サンドイッチの注文に1時間半。でも、君が好きだ。寝る前に聞きたいのは君の声なんだ!」
途中端折ってますよ。饒舌な映画ですから、告白も饒舌、しかも、ものすごい早口ときてる。だから、甘すぎないんだけど、泣けます。これでほだされない女はいないと思うくらいに。
ウディ・アレンの映画もそうですが、台詞の多い映画ってその台詞自体に力がないと成立しない。前述した通り、この時の脚本家はノーラ・エフロン。
私が彼女を知ったのはジャック・ニコルソンとメリル・ストリープ主演の『心みだれて』。妊娠中に浮気するという最悪男の話ですが、それはノーラ・エフロン自身の実体験だったという!
『恋人たちの予感』も実体験と言わずとも、彼女自身の考えはかなり入ってると思われ。
ノーラ・エフロンのエッセイは30代以降の女性には壮絶おススメ!料理へのこだわりは殆どネタかと思うほどで映画のメグをも彷彿させる。エフロン自身、面倒くさくてチャーミングな女性だというのがよくわかりますね。
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ちなみに、この後、映画監督になり、メグ・ライアンとのコンビとなる『めぐり逢えたら』や『ユー・ガット・メール』でドル箱の監督になりました。本のプロフィール読むと「ラブコメディの女王」と呼ばれたと。
常盤貴子も女王でしたからね。
本音を言うと、私は彼女の監督作よりも、脚本家時代の作品の方が好きなんですが。
メガホン撮る、という言い方が死語のようにも思えるのですが、ロブ・ライナーです。チャーミングだけど小うるさいエフロンの脚本をいい案配で中和している感じ。バランス感の良い監督というイメージですね。
ちなみにロブ・ライナーは本作の数年前に『スタンド・バイ・ミー』を撮っています。
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当時もヒットしてましたし、今ではこれまた名作扱い。つまり、『恋人たちの予感』は監督として一番注目されていた時期だったんです。
それ以降の作品はここまでヒットしていない。監督のロブ・ライナーも、脚本のノーラ・エフロンも、主演のメグ・ライアンもある意味、ノリにノッテいる時代の作品でもあった。
彼らの全作品を見たわけではない人間が言い切ってしまうのは失礼だよなと思いつつ、けれど、間違いなくおススメできる作品でもあるわけで。
そうそう、『恋人たちの予感』はU-NEXT新規登録でタダ見可能ですよ。(2020年4月現在。配信変更になってたらスマヌ)
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