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【志村ロスに送るフジファブ史②】パニック障害でリア充じゃない「若者のすべて」

過去のインタビュー記事などから再構成した志村正彦がいた時代のフジファブリック史第二弾。

志村ロス激しいあなたもぜひどうぞ!

現ボーカル、山内総一郎とのエピソードも多いですよ。

今回は2ndアルバム『FAB FOX』から3rd『TEENAGER』を中心に、志村のスランプ、メンバーの葛藤、『若者のすべて』の製作トリビア等々をまとめていきます。

ミュージックステーションの演奏で使用されたDVD『フジファブリック Live at 両国国技館』のレビューもたんまり。

魚の目
長いのでファンはブックマーク推奨
フジファブリックとか志村って誰?という方は→フジファブリック・志村正彦はなぜ死んでしまったのか?

フジファブリック 2nd『FAB FOX』(05)~~目立ち始めた山内総一郎

『FAB FOX』は2005年11月発売の2ndアルバムです。オリコンチャートは12位。


FAB FOX

(収録曲)
1.「モノノケハカランダ」
★2.「Sunny Morning」
F★3.「銀河<Album ver.>」(シングル)
★4.「唇のソレ」
★5.「地平線を越えて」
6.「マリアとアマゾネス」
7.「ベースボールは終わらない」
★8.「雨のマーチ」
9.「水飴と綿飴」(この曲のみ山内総一郎の作曲)
F★10.「虹」(シングル)
11.「Birthday」
F★12.「茜色の夕日」(シングル)  ※★印は個人的にお気に入り。
※F印はファンの人気投票で選ぶベストアルバム『FAB LIST1』収録曲

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「ヘッドフォンで聴くと疲れちゃうかも」(志村正彦)

志村いわく「これまではヘッドフォンなんかで入り込んで聴いてほしいと思ってたのですが、このアルバムに関しては自由な感じで聴いてほしいです。じゃないと、疲れるかもしれません」と。

魚の目
ポッキー食べながら曲聴くなって言ってたもんね

ネタかもしれませんが、志村は言ってましたね。
ミニアルバム『アラモード』の頃のインタビューで。

(聴いてるときに)ポッキーとか食べながら雑誌とか読まれたら僕は憤慨です(笑)。(僕自身は音楽を聴くとき)ふとんの上に胡坐かいてスピーカーを耳の高さにして気合いを入れて聴く。音楽を聴く時はテレビとか見ないで。だからドラマが充実している曜日は音楽は聴かない。

~~志村正彦『ルーフトップ』2003年6月

魚の目
03年のドラマといえば『GOOD LUCK!!』とか?

キムタクが敵なし状態だった頃ですね。あと唐沢版の『白い巨塔』も03年。

って、そんなことはどうでもよいのです。志村が見ていたかどうかもわからんですし。

『FAB FOX』に話を戻すと「気合い入れて聴くと疲れる」かどうかはともあれ、志村時代のアルバムでは「もっとも濃い」「もっとも深い」「もっとも取っつきにくい」印象です。

ただし、あくまで初聴での感想。私はこの後の『TEENAGER』(08)や『CHRONICLE』(09)からフジファブリックに入った組なので、比較すると作風がかなり違うわけでね。しかし、聴き込むうちにどんどん味の出てくるタイプのアルバムであるのは確か。

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『FAB FOX』は山内総一郎のギターも目立つアルバム

ところで、ギター(兼現ボーカル)の山内総一郎は後発メンバーだったこともあり、1枚目の『フジファブリック』ではまだ自分の色を出すには至らなかったわけです。いや、実際は「自分の色を出したくて試行錯誤したけど、うまくいかなかった」というところか。

山内自身、1stでは「スネたり、半分クサったようなところを、片寄さん(片寄明人プロデューサー)とか志村君にぶつけていたから(どうにも恥ずかしい)」などとコメントしていたことがあります。

が、セカンドの『FAB FOX』では山内の個性が前面に出てきます。

あのアルバムはギター・リフから作った曲がすごく多い。「モノノケハカランダ」.「Sunny Morning」「銀河」、「唇のソレ」もそうだし、半分以上そうなんじゃないですかね。すごくギター色が強いアルバムです。

~山内総一郎『フジファブリック 山内総一郎』(2016年)

(アルバムの中で一番好きな『マリアとアマゾネス』は)フジファブリックはギターのアンサンブルがすごいバンドなんだぞっていうのが言いたくて、その気持ちが詰まっている

~山内総一郎「音楽と人×フジファブリック」(2019年)


フジファブリック 山内総一郎 (GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES)

目立ち始めた山内総一郎にヤキモチ焼いてた金澤ダイスケ?

また、志村以外のメンバーで初めて作曲(『水飴と綿飴』)を手掛けたのも山内。

魚の目
で。今度はキーボードの金澤ダイスケがスネそうになったと。

本人が冗談交じりで語っていましたね。ダイちゃんの野望としては「志村の次、二番目に目立ちたい!」

ファーストでは鍵盤優位の仕上がりだったのに、セカンドではギターの方が鍵盤より前に出るようになってしまった。これでは自分が目立たなくなってしまうではないか、「オレ、どうしようか」って。

しかし、そこはバンドにおける女房的存在のダイちゃんです。

立体的にバンドの音を捉えると、ギターが2本(※山内&志村の分)、前に出たぶん後ろが空くっていうか、やっぱり何かが足りなくなるんですよ。で、キーボードというのはギターの上にも下にも横にも奥にも、つまり立体的にどこにでも行ける楽器で(中略)…だから、結果的には拗ねることもなく、あれ(※『FAB FOX』でのプレイ)で良かったと。

「週刊金澤2007-2014」


週刊金澤2007-2014 (SPACE SHOWER BOOKs)

「ファンは総くん目当てなんじゃないの(笑)」(志村正彦)

ところで、山内総一郎はルックスもそこそこ良いし、ギターも当然上手いしで、当初から固定ファンも多かったのですね。

志村自身、「山内にそこはかとない嫉妬心があったのでは?」みたいな発言も多々。志村がグチグチ考え込むキャラなら、山内は関西人的なカラリとした雰囲気がある。自分とは正反対のタイプだと志村が語っていたこともありますし。

ある時、雑誌『音楽と人』のインタビュアーに「でも、志村君の女性ファンは多いじゃない?」と問われました。

志村はなんと返したか?

「それはどうなんですかね(笑)。みんな、ソウくんを観に来てんじゃないの、って」

魚の目
なんちゅー面倒なフロントマンか。

「あの人(加藤慎一)すごいと思うな」(山内総一郎)

さて、ここまでベーシスト加藤慎一の名前が全然出て来ないじゃん、と思っているあなたもいるかもしれません。

魚の目
取材でも一人だけ殆どしゃべらないとか安定の寡黙キャラ

寡黙すぎてネタがありませんよ、と言いたいわけではありませんよ。

「怒りはグツグツ、自分の中で溜め込んでおいて平気です」と語ったかなりの面白キャラです。

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逆に、志村、山内、金澤は溜め込んでおかずに「わー!わー!」言ってしまうタイプらしいです。そんな時、加藤慎一はいったいどうしているのか? 山内のコメントが参考になります。

(みんながいら立ったりしている時に)加藤さんは冷静にタバコ吸ってたり、冷静っていうかボケっとしてるっていうか(笑)。

でも、あの人(加藤慎一)すごいと思うな。ダイちゃんと俺と志村君は、3人が3人、ああだこうだってなっちゃうんですよね、特にそのころは(※アルバム1枚目~2枚目の頃か?)。そこに、(加藤さんが)冷静にいるだけで違うんですよね。

~山内総一郎「FAB BOOK」

 


FAB BOOK―フジファブリック

※左から金澤(Key)志村(Vo)加藤(Bas)山内(Gt)

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ドラマー、足立房文・脱退事件

ところで、2ndアルバム『FAB FOX』の発売後、ドラムの足立房文が脱退しています。

最初は5人で始まったバンドですからね。

「音楽性の違い」ということですが、志村は悔しい気持ちをブログ日記(のちに『東京、音楽、ロックンロール』に掲載)に綴っています。「メンバーの脱退は離婚するようなもの」だとかね。

一方で、最も衝撃を受けたのは加藤慎一だったのかもしれません。フジファブリックのアーティストブック『FAB BOOK』ではしつこいくらい足立の脱退にも触れていましたし。いわく「事件が起きた感じ」だったと。

魚の目
事件って…。

脱退後も交流はあったようなので、ケンカ別れしたのとはちょっと違うと思いますが。

楽器のポジション的にもベースが一番影響を受けるらしいのですね。

フジファブリックのドラマーはその後、サポートという形でツアーやレコーディングの度に変わっていくのですが、これに関しては加藤はこんな本音を漏らしています。

ベーシストとしては、ずっと落ち着かないですよね。やっぱりドラムは演奏するうえでのすごく重要なパートナーですから。その相手がいろいろ代わるからずっと修行みたいな感じなんです。

~加藤慎一「FAB BOOK」

志村正彦は「ドラマーをそろそろ決めようかな」とブログに書いていましたが、その直後に急逝。残った3人が新たな正式メンバーを加入させることはなさそうです。

彼らにとっては依然「フジファブリックは志村のバンド」という気持ちが大きいはず。「志村が作ったバンドだから、自分たちに解散権はない」ということをどこかの番組で語っていましたしね。

魚の目
というわけで、加藤さん、永遠に修行僧でガンバ!

3rd『TEENAGER』(08) 青春傑作の陰に志村のため息

魚の目
次は3枚目のアルバム『TEENAGER』

2008年1月発売。前作からなんと2年2か月ぶりのリリースです。オリコンチャートは11位だったかな。


TEENAGER

【収録曲】※特に名前のないものは作詞作曲:志村正彦
1.「ペダル」
★2.「記念写真」山内総一郎作曲
3.「B.O.I.P.」山内総一郎作曲
F★4.「若者のすべて」(シングル)
5.「Chocolate Panic」志村正彦+Roger Joseph Manning Jr.作曲
6.「Strawberry Shortcakes」
7.「Surfer King」(シングル)
F★8.「ロマネ」
9.「パッション・フルーツ」(シングル)
★10.「東京炎上 <Album Mix>」
★11.「まばたき」山内総一郎作曲
F★12.「星降る夜になったら」金澤ダイスケ+志村正彦作曲
13.「TEENAGER」
(★印は個人的にお気に入り。F=ファンの人気投票で選ぶベストアルバム『FAB LIST1』収録曲)

発売当時はアンチも多いアルバムだった

タイトル、ジャケットからも想像がつくように青春っぽい感じ。

『FAB FOX』までのネトッとした文学青年ぽさは消え、Theポップスという感じに。
非常に聴きやすいですし、音楽通でもなんでもない私にとっては大好きなアルバムです。Amazon見ても今は良い評価ばかり。

アルバムを作る時に「今までになかったものを考える」っていうのは常に共通意見になっていますね。(中略)意識していたのは「歌に寄ろう」ってことですかね。『FAB FOX』はかなりギター色の強いアルバムだったんで、『TEENAGER』では、曲、歌に沿うようにしようってことは考えていました。

~山内総一郎『フジファブリック 山内総一郎』(2016年)


フジファブリック 山内総一郎 (GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES)

ネット情報ですが、発売当初は「こんなの、フジファブリックじゃない!」みたいなアンチの声も多かったらしい。歌ものが多くなったってこともそうでしょうが、「後ろ向き」「ネガティブ人間」の集大成みたいだった志村が「リア充」よりの歌を歌ったってことも大きいのか。

魚の目
彼女いないオタクファンのヤキモチでは?

 

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『星降る夜になったら』を悩みながら作曲した金澤ダイスケ

同アルバムには共作も多いのです。
ギターの山内総一郎も三曲作っていますし、キーボードの金澤ダイスケも。

ですが、積極的に曲を作っていた山内に対し、金澤の方はあまり乗る気ではなかったようなのですね。「自分がこのバンドで曲を書くべきなのか、どうか」みたいなことで悩んでもいたらしく。

『星降る夜になったら』は志村との共作なんだけど、「これでいいのかな」って思いつつ、志村が「こうじゃない、ああじゃない」って一緒にやってくれたことでどうにかできたんですね。

~~金澤ダイスケ『音楽と人×フジファブリック』


別冊 音楽と人×フジファブリック 音楽と人増刊

対する志村のコメント。

もともとの曲はサビがドラマチックでAメロ、Bメロもドラマチックと言うかきれいなメロディだったんですよ。つまり、曲全部がいい要素の集まりだったから、それでサビがたってないな、惜しいなと。ダイちゃんにその辺変えたりするのは嫌かな?って言ったら変えて、変えてって。

~~志村正彦『CD &DLでーた』※アルバム発売時のインタビューで。

金澤・志村作曲による『星降る夜になったら』は、このアルバムで最も成功した曲の一つかもしれません。当時よりも絶対に今の方が聴かれています。

魚の目
そもそも当時は知らなかったくせに。

何年か前に霜降り明星のオールナイトニッポンの挿入歌になり、フジファブのファン投票でも2位になっています(19年夏に発売されたベストアルバム『FAB LIST1』に入っています)。私事ながら、子どもの運動会でもかかっていてびっくりしましたね。


FAB LIST 1(通常盤)

作風はリア充でも、全然リア充じゃなかった志村正彦

さて、「志村のくせにリア充を歌ったから離れたファンもいた説」を書いたものの、志村はこの頃、決して決してハッピーな状態ではなかったようです。

魚の目
2年もアルバム、出してなかったしな。

メジャーデビュー数年のバンドがそれだけの期間出さないって結構なものです。曲ができなくて、できなくて、追い詰められていた時期でもあり。

ほんとに曲が出なかったんです。他のメンバーがちゃんと曲を作ってくるのがまたプレッシャーで、すごい嫌でした。この頃から辛かったですね。(中略)うちらって作品、毎回毎回変わりすぎじゃないですか。それで時間かかっちゃうんです。同じものばっかり作っても、リスナーさんも聴いてくれないっていうのが見え見えなんで、プレッシャーはだいぶ大きいです。

~志村正彦『東京、音楽、ロックンロール』


東京、音楽、ロックンロール 完全版

魚の目
いや、ファンは聴いたと思うけど

そうでしょうね。
これは志村の美学であると同時、「自信はあるけど自信はない」みたいなアンビバレントな感情に寄るものなのか。

本アルバムの歌入れが全て終わった帰り道、志村はパニック発作を起こしています。

電車乗って具合悪くなり、降りて休んで、また乗って具合悪くなり。かわいそうに。

時折現れるパニック症状は結局、最後まで完治しなかったんじゃなかったんですかね。

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魚の目
そんなプレッシャーの中で名曲『若者のすべて』を作るわけだがな。

16ビートバージョンまであった『若者のすべて』

『TEENAGER』が歌に沿うものになったのはアルバムの中心に『若者のすべて』があったことが大きい、と山内総一郎も語っています。

すごく良い曲だったんで、いろいろなアレンジを試したんですよ。16ビートのバージョンとかもあったくらい。

~~山内総一郎『フジファブリック 山内総一郎』

歌詞もメンバー間であれこれ相談したようです。

山内 「『若者のすべて』の♪ないかな、ないよね♪っていうのは最初違ってて、♪ないよねの方がない感じちゃう、とかね」
加藤 「最初、♪今年の最後の花火♪になってたのを入れ換えてみたら、とか」(中略)
――そういう提案に対して志村さんは?
山内 「すぐ受け入れます(笑)」

~~『CD &DLでーた』※アルバム発売時のインタビューで。

志村自身、ブログ日記では会う人、会う人に「あの曲、いいですね」って言われて、まんざらでもない様子が描かれていますが。

ただ、言いたいのは、この曲、俺が一番好き。まぁ、『いや!私の方がもっと好きです!』みたいな人がいたらめちゃめちゃ嬉しいんですけどね。この曲を作れて俺は救われたわ。(中略)あと、俺、この曲絶対に店に買いに行く。       (~~志村正彦『東京、音楽、ロックンロール』07年11月6日)

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ミュージックステーション初登場で志村本は売り切れ続出

で、その「若者のすべて」ですが。

ちょっと現在の話に戻りますと、2019年8月、フジファブリックがミュージックステーションに初登場した時に歌った曲です。

志村はもういませんから、山内ボーカルが過去映像の志村と協演したというのか、まぁ、そんな感じ。


これが泣けてね。

魚の目
志村もフジファブリックも、そこで初めて知ったくせに。

そう、そう!
恥ずかしながら自分はそのクチなのですが「ミュージックステーションでフジファブを知った!」という人は少なからずいるはず。

この放映の後、志村正彦『東京、音楽、ロックンロール』はAmazonの週間ベストセラーで突如ランクインしました。出版から10年以上経っているに関わらずね。品切れになったり。ベストアルバム『FAB LIST1』の限定版もあっという間に品切れになったりね。


FAB LIST 1(初回生産限定盤)

 

DVD『フジファブリック Live at 両国国技館』レビュー

ミュージックステーションで使用された志村映像

ミュージックステーションの演奏で挿入された志村の映像は『フジファブリック Live at 両国国技館』からのものでした。

(収録曲 ※セットリスト)
1.Surfer King
2.モノノケハカランダ
3.Sunny Morning
4.B.O.I.P.
5.パッション・フルーツ
6.星降る夜になったら
7.唇のソレ
8.夜汽車
9.蒼い鳥
10.地平線を越えて
11.環状七号線
12.若者のすべて
13.TEENAGER
14.銀河
15.TAIFU
16.虹
17.開店休業
18.陽炎

本ライブはアルバム『TEENAGER』発売の直前(2007年12月15日)に行われたものです。

フジファブリック初のアリーナ公演で、撮影はフジファブリックのPVでもお馴染みのスミス監督。

アングルはライブDVDにして凝り、凝り。

これ、カメラマンは大変だったろうなと思います。楽器の真横から撮ってたり。志村の真後ろから撮ってたり。エンドロールはPVみたい。仕上がりを志村自身、かなり気に入っていた模様。曲前のMCもいいですよ。

エンドロールの『Day Dripper』は『ないものねだり』とサビが同じ

エンドロールで使われている『Day Dripper』(『Surfer King』のB面)は4枚目のアルバム『CHRONICLE』の『ないものねだり』とサビが同じです。

魚の目
曲名ばっかでわかりづらいぞ!

私も書いてて思いました。聴いたことのない人にはちんぷんかんぷんですね。すみません。

ほんのトリビアですが、付け足しますと『ないものねだり』は『CHRONICLE』で志村が一番気に入っていた曲です。

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志村が心霊柄みたいなTシャツ着てます

『フジファブリック Live at 両国国技館』の本編について。

志村、ヘンナTシャツ着ています。サイケ柄みたいな、心霊写真の顔みたいな(よく見るとスカル柄っぽい)Tシャツ。

魚の目
ヘンナ、なんて言うな。大舞台で着たってことは気に入ってたんだろ。

そうですね。これ、どこかで見たことあるなぁと思っていたら「志村日記2」のアイコン(?)になってるやつ。

 

それを見て「痩せてるなー」と思ったものですが、ちょうど両国のライブの頃、2007年の頃の写真だったのか。

本人も「当時、50キロ切りそうでヤバかった」と書いていた。ライブでの志村は元気だし、キラキラもしてるんだけど、顔がややシワっぽく角度によっては実年齢の27より老けてみえます。

亡くなったのはその2年後の09年12月ですが、前後に発売されたアルバム『CHRONICLE』や『東京、音楽、ロックンロール』『FAB BOOK』などの写真を見る限り)は逆に少しふっくらして可愛い感じになっているんですがね。

魚の目
服装もちょっと変わった。

Tシャツ+ジーパンみたいな「ザ・ロッカー」みたいな恰好からちょっとアイドルっぽく(?)スタイリッシュになっていった。スタイリストでもついていたのか、本人の趣味が変わったのか。帽子集め出したり。

フジファブは加藤慎一以外、みんな顔が変わっている

魚の目
でも、フジファブのメンバーってみんな雰囲気変わんね?

そう。ベースの加藤慎一以外、顔も雰囲気も変わっています。逆に言えば、加藤さんは顔も体形もファッションセンスもほとんど変わっておらず、そのブレのなさが際立つ感じではありますが。

キーボードの金澤ダイスケは黒縁メガネかけたロン毛で最初は神経質そうなイメージでしたが(実際はフジファブ随一、コミュニケーション力が高い)、今はもっとナチュラルな雰囲気。

ギター&現ボーカルの山内総一郎は服装や髪形はもちろん、顔すら違います。
20代の頃は切れ長の美少年風だったのが、今はクルミみたいな瞳のかわいらしい顔立ちになっている。

かといって、整形したとは考えづらいので経年によって奥二重が二重になったのかなと。私の周囲にもそういう人、2人ほどいます。

『銀河』から『虹』までの流れ、史上最高最強のライブ

またしても脱線。ライブに話を戻します。
個人的な圧巻は後半の『銀河』から『虹』までの流れ。

『虹』でのメンバー紹介はメチャクチャいいです。

この時に、志村が水玉ネクタイをした金澤ダイスケをいじっています。自分だってヘンナTシャツ着てるくせにね。「大の男が、ロッカーが、この水玉は何んだ!」「靴の裏まで水玉だ!」とかね。

確か、ダイちゃんは「mercibeaucoup,」ってブランドが好きなんじゃなかったか。私も何枚かここの服、持ってます。だから、服の趣味は志村よりは気が合いそうです。

志村はそうやってダイちゃんをクサしつつ「だけども、同世代では類を見ないほどロックなキーボーディスト」みたいにまとめます。直後、鍵盤を弾くダイちゃんの腕は鳥肌もの。楽器のことなんか、まったくわからない私が聴いても、です。

なお、このライブDVDはドラムもベースもギターも、楽器すべてをちゃんと見せます。いつも後ろの方にいる加藤さんの笑顔にも心が和みます。

もう一つ思ったのが、山内総一郎はちょっとオーラが違う感じだなと。

魚の目
ライブの女性ファンはみんな、ソウくんを観に来てるからね(志村)

志村がそう言いたくなる気持ちもちょっとわかりましたよ。

他の3人はややあってヒョロヒョロ文学ロックな感じですが、山内はタッパもあって「Theロッカー!」って感じがある。

喋らない分、ミステリアスな色気もある。この頃は、まさか自分がフロントマンををやることになろうとは1㎜も思ってなかったのでしょうがね。考えると、どうにも切なくなりますが。

次回は最終話。志村の夢だった地元ライブから遺作となった『MIUSIC』まで!

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